業務実績
平成31年度 沖縄離島体験交流促進事業 (本島版)
背景・現状
●沖縄21世紀ビジョンにおいて、離島地域の住民負担を『沖縄の心である「ユイマール精神」に基づき、県民全体で支え合う新たな仕組みを構築していく。』と謳っているが、現状として、沖縄本島地域の住民の離島地域への関心は低い状況にある。
●これまで県においては、離島地域における体験プログラムの作成や、体験・滞在施設の整備等を支援してきたが、今後はこれらの資源や民泊の取組等を有効に活用し、離島地域の活性化を図る必要がある。
今年度の課題
●アレルギー疾患を抱える児童や、特別支援を要する児童が増加している昨今、離島で体験滞在交流活動を受け入れるにあたっては、学校との情報共有や学校と連携した児童サポートが求められる。多様な児童を安心して派遣できる目的地を目指し、今年度は学校との連携と対応力の強化を図る。また、法令遵守と危機管理に対する意識向上と受入態勢の構築・強化に取り組む。
●本事業を通じた児童の離島理解促進と健全育成を目指し、学校現場と連携した学習効果の高い体験活動(事前・事後学習を含む)を推進する。
●島側が児童の自律的・主体的な学びを促進する体験・交流を実施できる組織づくりと 人材育成に取り組み、自立的観光に向けた基盤整備を推進する。
事業概要
将来を担う児童が、離島の重要性、特殊性及び魅力に対する認識を深めるとともに、沖縄本島と離島との交流促進により、離島地域の活性化を図ることを目的として、沖縄本島の児童を離島に派遣し、地域の人々や地元小学生との交流のもと、体験学習や民泊等を実施する。
期待される効果
①離島地域の文化、環境及び産業を活かした新たな体験学習の場の構築
②沖縄本島の児童が、離島の重要性、特殊性及び魅力への理解を深める
③児童の豊かな人間性や社会性の形成
④本島と離島との交流促進
⑤離島観光の振興
派遣概要
参加学校
沖縄本島内の49小学校の5年生(125クラス 3,708名)
派遣先離島市町村
伊平屋島、伊是名島、伊江島、水納島、粟国島、渡名喜島、久米島、座間味島、阿嘉島、渡嘉敷島、津堅島、北大東島、南大東島、池間島、宮古島、伊良部島、多良間島、石垣島、西表島、小浜島、黒島、波照間島、与那国島(17市町村・23離島)
期間
平成31年5月~7月及び9月~12月
費用負担
本事業にかかる費用は、旅行保険と昼食代以外は沖縄県が負担
昨年度の成果
~島側の声~
本事業に参加した島側コーディネーターや島側行政担当者の声の一部を紹介致します。
本年度2つの地区(慶留間島・座間味島阿佐)においては初めての受け入れとなった。ガイドとアシスタントとの協力体制や、宿同士(座間味島)の連帯など地域のつながりがより密になったように感じられた。大変だったが、楽しかったので来年度もぜひ実施したいとの声もあった。また、団体の受け入れに慣れていない地域なので、団体の受け入れの対応の仕方も体感でき、修学旅行の受け入れが実施できると実感した。閑散期での受け入れで、マリンスポーツ以外のプログラムの開発にもなった。(座間味島・阿嘉島・慶留間島)
体験交流事業の認識度が増してきている。「今回は、どこの学校ね~?」と声掛けがある。島の人の民泊への興味が湧いてきている。 (南大東島)
本島(都会)の子と島の子の違いがよく見えた。改めて、地域の魅力を確認した。 老人たちが公民館で受け入れの子ども達と出会って、いつもと違う様子が見られたのが微笑ましかった。集落で出会えば挨拶を交わしてくれ、たくさんの子ども達に元気をもらったようだった。たまにこういった機会があるのは集落に活気が出るように思う。子ども達が交流できたのがよかった。(西表島干立地域)
昨年度、本年度で経験を積めたので本年度10月度より教育旅行で1クラス単位ではあるが3校派遣し、事務局からのサポート人材の派遣なしで島の人だけで受け入れることができた。 (黒島)
~参加者の声~
H29年度は、47校の児童生徒(128クラス)3,688名が22離島(17市町村)に派遣されました。
H29年度に本事業に参加した本島児童や先生方、参加児童保護者の声の一部を紹介致します。
参加した本島児童の声
●お手伝いをして、鍋の中に入っている食材が重くて混ぜるのが少し大変だったけど、民家さんの役に立てたので嬉しかったです。
●じゃがいもを植える作業がずっと中腰で大変だったけど面白かった。間を開けないと育ちにくいこともわかり、なるほどと思った。 早く大きくなってほしいなぁ。
●川で泥を抜いたときに、気持ち悪かったけど楽しかったし 生き物の命を守れて誇りに思った。
●漁業体験をして、普段はこれを他の人たちがとって店で売っていることはすごいと思った。魚を頑張って食べたい。
参加した本島先生方の声
●参加する前はあまり積極的でなかった子もプログラムを通じて進んでお手伝いができたことで自信がついたように思う。
●食に感謝するようになり、給食完食が続いている。苦手な食べ物が給食に出た時は「苦手なのに美味しく感じた」と言っていた。
●「じぃじぃが~」「ばぁばぁが~」と民家さんのことを本当の祖父母のように話していた。
●体験前は担任に許可をとる子が多かったが、体験後は自主的に行動する子が増えた。自分で考えて行動しようとする姿が育った。
●離島の人とのふれあいを通して、人見知りすることなく社交的になった。思いやりの心が増え人に対しても優しくできる児童が増えた。
参加児童保護者の声
●子ども達が民家さんとの触れ合いを通して民家さんの心配(台風接近等)をしたり・・・「離島は不便だと思ったけど、工夫してよりよく生きている民家さんを見て幸せってこんなことかも」と感想があり、子ども達の意識が変わった子が多かった。
●離島体験交流学習を通して、子ども達の規範意識の高揚、集団行動の育成、心の醸成、そして学習活動にも大きな成果があった。島の方々とのお別れ会で、子ども達、そして島の皆さんが涙を流したことは、子ども達の一生の思い出になることと思います
●離島だけでなく、知らない地域や社会のことに興味を持つようになった。自分が行った島に台風が直撃したときは心配して民家さんに電話したり、離島のことを気にかけるようになった。
●学校だけでなく、家庭での手伝いを進んでやるようになった。「変化におどろいた」「学びが大きかったような」という保護者からの手紙をいただいた。「また行きたい。同じ民泊に泊まりたい」という子の多い中、「私はイヤだ。家族とはいきたくない。友達との貴重な思い出だから。大事に胸にしまっておきたい」という子がいた。
●あまり友達がいない子がいたのですが、体験学習を通して仲の良い友達ができたようで、明るくなった。
事業の様子
ハーリー体験(伊平屋島)
水納島たんけん(水納島)
長命草植付体験(与那国島)
学校交流会(波照間島)
草木染め体験(阿嘉島)
凧づくり体験(宮古島城辺)
マングローブ観察(石垣島川平地域)
ホームビジット(久米島)