昨日の夜、以前「成果の出る会議の進め方講座」を受けていただいた、とある商工会関係者の方から突然ご相談のお電話をいただきました。
内容をかいつまむと…
- 小6の娘さんがバレーボールをやっている
- 最近のそのチーム内で不和が発生し、休部に追い込まれている
- 明日、子どもたちと親、そして先生が集まり、その件について会合を開く予定
- 以前受講した時「ファシリテーション」が印象に残っていたので、今回活用したい
- 友人と2人でファシリテーターを買って出て、以下のストーリーを考えてみた
- アイスブレイクフラフープを使ったゲームで子どもチームと親チームで競い合い。子どもが勝つことが予想されるので、気持ちを盛り上げることとチームワークの楽しさを実感させたい。
- 話し合いアイスブレイクを受けて、このチームでどうやったら強くなれるかをみんなで考えてみる。ホワイトボードを使って板書しながら進めたい。
- 狙いとしては、子どもたち同士や親同士の一体感を生みたい
- 子どもたちは「叱られる」と思って参加してくるはずなので、楽しく進めたい
ということでした。
そこで、アドバイスして欲しいという内容のお電話でした。
とっさのことだったのどうしようかと思いましたが、いくつか状況について追加質問させていただき、以下のようなコメントをさし上げました。
- 全体の流れはとてもいいと思う
- 子どもたちにとって急に「どうやったら強くなれるか」を考えさせられるのは難しいと思うので、もっと別の質問を前もってたくさん考えておいた方がいい
例えば、- 以前試合に勝った成功体験があるなら、「あの時、どんな気持ちだったっけ?」とか「あのとき、○○だったよね?。なんで勝てたんだっけ?」など
- 子どもたちが楽しい雰囲気になってきたなら、「どんなチームだったら勝てると思う?」とか「どんな工夫をしたら勝てるようになるかな?」など
- 全体の雰囲気が相当前向きになったらなら、一気に問題の本質(人間関係のあり方など)を引き出す質問をしても良いが、あまり盛り上がらなかった、もしくは引き気味の子どもがいるようだったら、とにかく楽しい雰囲気で終わること、次回も参加してみようと思わせる雰囲気で終わらせるようにする
- 何よりも、「子どもたちは自分たちで素晴らしい答えを見つけることができる」と信頼すること。これにつきる
というような会話をしてその日は電話を切りました。
* * *
そして翌日。どうなったかなーと気になっていたところ、また夜になってお電話をいただきました。
「どうでした!?」
「うまく行きました! とても楽しくいい雰囲気で進めることができましたっ!」
「すごい! どんな風に進めたのですか?」
「まずアイスブレイクは大成功。3回とも子どもチームが勝ち、みんな楽しそうでした。こどもたちは毎回タイムを伸ばしました。」
「その後の展開は?」
「『みんなは6年生だけど、あとどれぐらいバレーボールをできる時間が残っていると思う? それって長いと思う? 短いと思う?』という質問からはじめました。」
「おお、すごい。」
「それからアドバイスにあったような質問を組み合わせながら、みんなの意見を引き出し、ホワイトボードにどんどん書き出しました。そしたら、いろいろとどうやったらいいかが見えてきて、みんなで共有することができました。子どもたちの間にも親同士の間にも、何というか一体感が生まれました。」
「素晴らしい! プロのファシリテーター顔負けですね!!」
「最高に楽しかったです。あとは、これからどうするかです」
「ホワイトボードに書き出されたことを実行に移すための仕組みというかルールというか、何か決めごとを作られて毎日実践されるといいですよね。例えば、私は以前、大人のプロジェクトのケースですけど、『Good Job!カード』というのを参加者全員に書いてもらったことがあります。あるプロジェクトの中間ぐらいで、『これまでの仕事で○○さんに対して“Good Job!!”といいたい事柄をカードに書いてお互いプレゼントする』というものです。カードに書かなくても、毎回練習後にお互い誉めあうというのもいいですよね。」
「なるほど。またいろいろと考えてみます!」
* * *
いやあ、なんというか、感動的でした。こういうお電話をいただき、とても嬉しかったです。
この方が組んで一緒にファシリテーターをやったご友人は、介護関係の会社を経営している方だそうです。2人とも相当ファシリテーション的なセンスがある方だと察しました。
それにしても、こういうケースでも威力を発揮するなんてファシリテーションの底力ってすごいと改めて実感しました。