業務実績
平成20年度自然・伝統文化を活かした交流促進事業「粟国の宝」ネットワーク推進事業
事業概要
那覇市の北西約60キロの海上に浮かぶ粟国島は、周囲12キロ、人口800人あまりの、豊かな自然と伝統文化を残す離島村である。離島であるが故に子供たちが中学卒業後に島を離れることを余儀なくされるなど、沖縄本島等への人口流出による過疎化、高齢化が深刻で、島の経済活性化が喫緊の課題となっている。
一方で近年、観光交流の推進によるまちづくりが全国的に注目を集めており、地域住民と訪問者(観光客)の積極的な交流をとおしたツーリズム振興による経済活性化の先進事例が多く報告されている。このような「観光まちづくり」においては、住民が自分の住む地域のことをよく知り、地域の宝(自然や文化資源等)について誇りを持って紹介することで、地域住民、訪問者双方の満足度を高めることが重要となっている。
これらのことから、粟国村の振興においては、島の特性、資源を十分に活用し、訪問者との交流を通して経済を活性化する方策が求められており、そのためにはまず、村民が粟国島の自然・伝統文化を知り、島に対する愛着と誇りを醸成して行けるような取り組みが必要である。
以上を踏まえ、今年度の「粟国の宝ネットワーク推進事業」では、島の豊かな自然や文化等の資源を再発掘し、わかりやすく資料化して島民共有の財産とすることを目的に、粟国の動植物等に関する資源調査を行い、その成果を島の子供たち(小中学生)を対象としたガイドブックとして編纂するとともに、村民を対象とした成果発表のシンポジウムを開催した。さらに、粟国小中学校との連携によりこれらの素材を教材として学校現場で活かすための検討を行った。
また、島の魅力を観光客にわかりやすく体験していただくためのノウハウについて学ぶことを目的に、自然資源や1次産業を活かしたグリーンツーリズムおよび、文化遺産の魅力的な展示手法やボランティアによるガイド体制の先進地として宮崎県への視察研修を行った。
その他、「粟国の宝」ネットワーク事業検討委員会を設置し、本事業の方向性や次年度以降の展開についての検討を行った。
2.粟国の宝」ガイドブック・学習教材
本事業では、島の魅力に対する愛着と誇りを醸成する素材とするため、小学校の高学年から中学生を対象とし、粟国島の宝を身近に実感できる視覚的でわかりやすいガイドブックを作成し、学習教材用のポスターとカードの仕様を検討した。
実地調査
- 実施期間
- 平成21年2月9日~11日および3月16日~20日
- 実施場所
- 粟国村内各所
確認した動植物等
- 野鳥
- 約25種
- 植物
- 約80種
- 海洋生物
- 約50種
ガイドブック作成
小学校高学年からお年寄りまでが読んでわかるように編集し、村民が島の地域資源を再確認できるような内容とする。また、島の自然を魅力的に紹介することにより、特にバードウォッチャー等の自然に興味ある観光客にとっても欲しくなる一冊とする。
当初、島の自然と文化を網羅するガイドブックを予定していたが、調査の結果として島の自然資源の豊かさが特筆すべきであることを踏まえ、限られた紙数の中で自然分野の魅力を余すところなく伝えるよう自然に関する内容を充実させることとした。特に、自然分野の写真資料は撮影の難しさから品質の高い素材が不足しがちであるが、今回のガイドブックでは、新たな撮り下ろしと既存資料やライブラリーを最大限活用して貴重な写真を多用することで、「粟国の宝」を視覚的に伝える内容とした。
学校教材
高校入学とともに島を離れる子供たちを対象に、島に愛着を持っていつしか島に戻りたいと思うような人材を育てることができるよう、小中学生を対象とした学習教材を作成することとした。そのため、粟国小中学校の教員の皆さんに対してヒアリングを実施し、現場で求められている教材の要件を調査して、教材の仕様を検討した。その結果、ポスター(野鳥版および海岸植物版の2種類)および学習用カード(野鳥版および海岸植物版の2種類)を以下の仕様にて作成することとした。
「粟国の宝」講演会の開催
本事業におけるトゥージづくりの取り組みや自然を中心とした「粟国の宝」ガイドブックの制作を踏まえ、それらの成果を村民に広く伝えることにより、粟国島の自然と文化の魅力、県内他地域と比較した優位性などについて知り、島への愛着と誇りを醸成することを目的に講演会を開催した。
- 日時
- 平成21年3月19日(木)19時00分~20時30分
- 会場
- 粟国村離島振興総合センター
- 講師
- 屋比久 壮実氏(アクアコーラル企画)
玉寄 義治氏(粟国中学校教諭) - タイトル
- 「粟国の宝」講演会 ~みんなで島の宝を探し出そう!!~
先進地視察
「グリーンツーリズムによる地域おこし」の先進事例視察と意見交換を中心とし、以下の3点を目的に視察を実施した。
- 農業と観光や交流による「地域おこし」の中心的存在として活動するリーダーたちと直接意見交換をし、見識を深める。成功した要因は何か、あるいは失敗談をふくめて情報収集する。
- 視察訪問を通じて各地域のリーダーとの人的ネットワークを構築し、継続的な交流を図る契機とする。
リーダーたちとの意見交換をふまえ、現地を実際に訪問しながら、粟国村に活かせる事例やノウハウを発掘する。
- 期間
- 平成21年3月25日(水)~3月27日(金)2泊3日
- 視察先
- 宮崎県・県央地方3市町村(宮崎県綾町、西米良村、西都市)
- 視察メンバー
- 与那城 義幸 (農業・西区長)
山城 義之 (粟国村役場総務課長)
新城 光則 (粟国村役場総務課)
開 梨香 (株式会社カルティベイト代表取締役)
平井 雅 (株式会社カルティベイト)
検討会議の開催
- 日時
- 平成21年3月10日(火)18時~20時
- 会場
- 粟国村役場2階会議室
- 参加者
- 城間成弘(村議員)、玉寄義治(中学校教諭)、赤嶺真知子(農業)、新城研太(青年会長)、鈴木幹司(青年会員)、伊佐寿幸(民宿)、上原美雅子(村役場職員)、山内勝雄(村観光担当)、新里親房(村広報担当)、糸洌洋一(村観光担当)、城間世守(村教育委員会)、新城光則(村役場事業担当)以上12名
カテゴリー:地域活性化